お役立ちコラム
自殺があった物件は、事故物件とみなされます。事故物件とは、買い手の心情に影響を及ぼすと考えられる心理的瑕疵(かし)のある物件のことです。
特に家族や親族が自殺をしてしまった物件は、所有しているだけでも精神的な苦痛や抵抗感があり、一刻も早く手放したいと考える方もいるでしょう。
しかし一度事故物件や訳あり物件になってしまうと、ネガティブなイメージから買い手がつきにくくなります。
不動産会社に仲介や買い取りを断られ、処分に困るケースもあるでしょう。
本記事では、自殺物件を売却する方法や、売却価格の決め方などについて詳しく解説します。
自殺の起きた事故物件は売却できる?
マンションや一戸建てで自殺が起きると、その物件は事故物件として扱われます。
事故物件とは、建物内で殺人や自殺、特殊清掃が必要な自然死・病死・孤独死などの事案が発生した物件のことです。
事故物件には心理的瑕疵(心理的な抵抗感を生み出す欠陥)があるとされ、不動産取引に当たって買い手の心情に大きな影響を及ぼす可能性があります。
心理的瑕疵が問題となる物件は以下の通りです。
心理的瑕疵 | 物件の詳細 |
人の死に関わるもの | 殺人、自殺、自然死・病死・孤独死などがあった物件 |
嫌悪施設に関わるもの | 近隣の病院、火葬場、ゴミ屋敷、新聞販売所など |
※参考:公益社団法人全日本不動産協会.「不動産取引における心理的瑕疵について」P3.https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001405335.pdf,(参照2023-12-26).
そのため不動産取引を行う宅地建物取引業者は、不動産の買い手に対して、事故物件かどうかを告知する宅地建物取引業法上の義務(=告知義務)があります。
万が一、事故物件であることを隠して不動産を販売した場合、民法上の契約不適合責任を問われる可能性があります。
なお、自殺のあった事故物件を売却するのが難しいといわれる主な理由は、告知義務によるものです。
建物内で自殺が起きると、相手に事故物件であることを伝えた上で売却しなければならないため、買い手がつかなかったり売却価格の引き下げが必要になったりする可能性があります。
自殺物件の売却に当たって、まずは事故物件に該当する範囲を把握しておきましょう。
事故物件に該当する範囲とは?
事故物件の定義や範囲に関して、これまで政府は明確な方針を示していませんでした。
心理的瑕疵が生じるかどうかは、買い手の心情によるところもあり、人によって受け止め方はさまざまです。
事故物件かどうかの判断基準となるガイドラインがないと、人の死が発生した物件が全て事故物件として取り扱われるという懸念もあり、売り手にとって不利になる可能性があります。
そこで国土交通省は、2021年10月8日に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定し、事故物件かどうかの判断基準や、宅地建物取引業者が告知義務を負う範囲について定めました。ガイドラインでは、事故物件の告知義務に関して以下のように記載されています。
【原則】 宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない。(※) |
※出典:国土交通省.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」P3.https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001427709.pdf,(参照2023-12-26).
事故物件かどうかは、建物内で起きた人の死に関する事案が不動産取引に重要な影響を及ぼすかどうかによって判断しなければなりません。
そのため同じ人の死に関する事案でも、家族による看取りが行われた自然死や、日常生活における不慮の死(転倒事故や誤嚥など)の場合は取引に重要な影響があるとはいえず、国土交通省のガイドラインでも告知義務がないとされています(※)。
※参考:国土交通省.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」P3.https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001427709.pdf,(参照2023-12-26).
一方で、殺人や自殺などの深刻な事案が起きた場合、原則として買い手への告知が必要です。
特に居住用物件の場合、建物に住む人にとっての心理的な抵抗感が大きく、事件について知る近隣住民に噂されてしまう恐れもゼロではありません。
そのため過去の裁判例でも、殺人や自殺が起きた事故物件については心理的瑕疵が認められています。
例えば、取引の約5か月前に首吊り自殺があったことを買い手に伝えずに売却した中古物件の事例では、物件に欠陥があっても売り手の責任を問わない契約になっていたにもかかわらず、裁判所は心理的瑕疵があったとして買い手の損害賠償請求を認めました(※)。
※参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO).「心理的瑕疵に関する裁判例について」P2.https://www.retio.or.jp/attach/archive/82-118.pdf,(参照2023-12-26).
ただし自殺があった時期や場所も、事故物件かどうかの判断に影響します。
国土交通省のガイドラインでは、以下の3つのケースに該当する場合、物件の売り手や貸し手に「心理的瑕疵の有無を告げなくてよい」としています。
不動産取引の種類 | 告知しなくてもよい場合 |
①賃貸借・売買取引 | 取引の対象不動産で発生した自然死や、日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)の場合 |
②賃貸借取引 | 取引の対象不動産や、日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分において、①以外の死や特殊清掃が必要な①の死が発生し、事案発生(特殊清掃が行われた場合は発覚)からおおむね3年間が経過した場合 |
③賃貸借・売買取引 | 取引の対象不動産の隣接住戸や、日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分において、①以外の死や特殊清掃が必要な①の死が発生した場合 |
※出典:国土交通省.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」P3.https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001427709.pdf,(参照2023-12-26).
例えば、自殺物件の賃貸契約を結ぶ場合、もし自殺や殺人などがあった場合でも事案発生から3年間が経過した場合は借り手に告知する必要はありません。
一方、売買契約の場合は異なります。
過去の裁判例を見ると、自殺発生から6年経過した後の売買取引で心理的瑕疵が認められた例もあります(※)。
※参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構(RETIO).「心理的瑕疵に関する裁判例について」P2.https://www.retio.or.jp/attach/archive/82-118.pdf,(参照2023-12-26).
また自殺が起きたのが建物内ではなく、隣接する住戸や使用頻度の少ない集合住宅の共用部分で起きた場合も、ガイドライン上は事故物件には当たりません。
原則として、自殺や殺人があった物件は事故物件とみなされ、売り手に対して告知する義務が発生します。
ただし不動産取引の種類や、事案が発生した時期、場所などによっては例外もあることを把握しておきましょう。
事故物件は契約不適合責任の対象
事故物件であることを隠して不動産を売却した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
民法では、不動産などの目的物(取引の対象)に欠陥がある状態を瑕疵(かし)と呼びます。
もし瑕疵の存在を伝えずに目的物を販売した場合、売り手は契約不適合責任(2020年までは瑕疵担保責任)を負い、買い手は損害賠償を起こしたり、契約を一方的に解除したりすることができます。
特に事業用(賃貸用)の不動産の場合、買い手から多額の損害賠償を請求されることも珍しくありません。
例えば、不動産を1億7,000万円で売却した事例では、取引の2年1カ月前に飛び降り自殺があった事実を買い手に伝えなかったため、裁判で2,500万円の損害賠償請求が認められています(※)。
※参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構(RETIO).「心理的瑕疵に関する裁判例について」P4.https://www.retio.or.jp/attach/archive/82-118.pdf,(参照2023-12-26).
建物内で自殺が起きた場合、その事実を隠して売却することは原則としてできません。売り手とのトラブルを防止するためにも、事故物件であることを事前に伝えるようにしましょう。
もし所有する不動産が事故物件になってしまっても、スムーズに売却する方法はあります。
自殺物件を売却する方法
ここからは、一般的に買い手がつきにくいといわれる自殺物件を売却する方法についてご紹介します。
- 一般の不動産会社に仲介を依頼する
- 一般の不動産会社に買い取りを依頼する
- 物件を取り壊して更地にしてから売却する
- 事故物件・訳あり物件の専門家に買い取りを依頼する
一般の不動産会社に仲介を依頼する
自殺物件を売却する1つ目の方法は、不動産会社に仲介を依頼することです。
仲介を依頼すれば不動産会社が間に入って、条件に合った購入希望者を探してくれます。
一定の仲介手数料がかかるものの、他の売却方法に比べると売却価格が高くなりやすいのが仲介による売却のメリットです。
ただし自殺物件は心理的な抵抗感が強く、購入希望者がなかなか見つからないこともあります。買い手探しに半年から1年以上かかるケースも珍しくありません。自殺物件の販売にある程度時間がかかってもよい場合は、不動産会社の仲介を利用しましょう。
一般の不動産会社に買い取りを依頼する
2つ目の売却方法は、不動産会社に買い取りを依頼する方法です。
買い取りでは、不動産会社に直接物件を買い取ってもらいます。買い手探しに時間がかからないため、自殺物件をなるべく早く処分したい場合に向いています。
短期間で売却できるメリットはあるものの、仲介を依頼する場合と比べて、買取価格は安くなりやすいのがデメリットです。
また自殺物件は遺品整理や特殊清掃の手間がかかるため、不動産会社によってはそもそも買い取りを断られてしまう可能性もあります。
自殺物件の買い取りを依頼する場合は、事故物件に対応可能な不動産会社かどうか事前に確認するのがおすすめです。
建物を取り壊して更地にしてから売却する
3つ目の売却方法は自殺のあった建物をいったん取り壊し、更地にしてから売却する方法です。
自殺のあった建物を取り壊すことで、物件をそのまま売却するよりも売却価格への影響が小さくなります。
また自殺物件へのネガティブなイメージが減るため、買い手がつきやすくなる効果も期待できます。
更地にした後はさまざまな方法で土地を活用でき、例えば月極駐車場やコインパーキングとして運用することも可能です。
特に築年数が経過した建物の場合は、自殺物件かどうか関係なく建物そのものの資産価値が低いため、いったん更地にすることも検討しましょう。
ただし建物の取り壊しには、高額な費用がかかります。また土地が住宅用地でなくなるケースもあるため、固定資産税の特例が受けられないので税負担が大きくなる点にも注意しましょう。
事故物件・訳あり物件専門の不動産会社に買い取りを依頼する
一般の不動産会社の場合、事故物件の状態によって仲介や買い取りを断られてしまうこともあります。
そこでおすすめなのが、事故物件や訳あり物件専門の不動産会社に買い取りを依頼する方法です。
例えば、弊社ハッピープランニング株式会社では、孤独死や病死、殺人、自殺などがあった事故物件の買い取りを専門的に行っています。
事故物件専門の不動産会社として、自殺物件などの買い取りに長年力を入れているため一般の不動産会社よりも高額で買い取りを行えるケースもあります。
また遺品や不用品が残っていても遺品整理や不用品の処分などの対応も行っているため、遺族の方が事故物件を片付ける手間もかかりません。
一般の不動産会社に買い取りを断られてしまった、なるべく手間を減らしたい、高額に売却したいという場合は、事故物件・訳あり物件専門の不動産会社に依頼しましょう。
自殺物件を売却するときの価格の決め方
自殺物件を売却する場合、売却価格が相場よりも安くなってしまうことがあります。
例えば、自殺が起きてしまった中古マンションの場合、売却価格を相場から30%程度減額することが一般的です。また遺体の発見までに日数を要し、特殊清掃が必要になった場合は、50%程度の減額が必要になるケースもあります(※)。
※参考:公益社団法人全日本不動産協会.「不動産取引における心理的瑕疵について」P8.https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001405335.pdf,(参照2023-12-26).
また自殺物件の持ち家を貸し出す場合は、賃料を相場から30%程度減額することを検討しましょう。
借り手によっては、心理的瑕疵の有無をそれほど気にしない方もいます。心理的瑕疵の影響を取引価格に反映させ、周辺の物件よりも安くすることで買い手や借り手がつきやすくなります。
特に一般の不動産会社に依頼する場合、自殺物件の買い手が見つかりにくいため相場よりもかなり売却価格を下げなければならないことも多いです。
自殺物件を少しでも高く売りたい場合は、事故物件や訳あり物件専門の不動産会社に買い取りを依頼しましょう。
自殺物件をスムーズに売却する方法や告知義務について知ろう
建物内で自殺があると、その物件は事故物件になってしまいます。事故物件の場合、買い手への告知義務があるため心理的な抵抗感から購入されにくいでしょう。
また自殺物件は、売却価格も安くなる傾向にあります。
例えば、自殺のあった中古マンションを売却する場合、売却価格が相場から30~50%ほど低くなることが一般的です。
このように自殺物件はさまざまなリスクを抱えています。
一般的な不動産会社の場合、そもそも自殺物件の買い取りを拒否される場合もあるでしょう。
自殺物件を少しでも高く売却したい方や、できるだけ早く処分したい方は、お困り不動産解決本舗ハッピープランニングにお任せください。
事故物件や訳あり物件専門の不動産会社であるため、家なら、一般的な不動産会社では買い取れない自殺物件であっても対応可能です。
また弊社では、室内がそのままの状態でも買い取りを行っています。大量の遺品や不用品が残っている場合や、遺体の発見までに日数を要してしまった場合、遺品整理や特殊清掃も可能です。
自殺物件の処分にお困りなら、買い取りから特殊清掃まで対応可能なハッピープランニングにご相談ください。
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