お役立ちコラム

住宅ローンを残し離婚するときの手続きは?名義変更でリスクを回避!
2022.07.28
事故物件を有利に売却するための5つのプロフェッショナルアドバイス

夫婦の関係が終わりを迎え離婚することになったとき、マイホームの扱いはどうなるでしょうか?
売却してお互い別々の住居へ移り住むか、あるいはどちらか一方がそのまま住み続けることも考えられます。

ただし、住宅ローンが残っている場合や、住宅の所有名義を変更するときには注意しなければならないポイントがいくつかあります。
今回は、住宅ローンを残したまま離婚する場合の手続きと、住宅を名義変更する場合の注意点について解説します。

離婚時に住宅の所有権はどうなる?

まず、住宅の法律上の所有権は誰にあるかを、登記簿等で確認します。

住宅は登記簿上の権利者のもの

住宅の所有者は、法務局で登記簿に記載されている所有権者になります。
夫婦どちらかの単独名義か、あるいは共有名義かを確認しましょう。

単独名義の場合

単独名義であれば、その住宅の売却や新たな担保設定をするなどの処分・変更行為を名義人が単独で行うことができます。
この場合は、名義人である夫婦どちらか一方がそのまま住み続けるか、名義変更してもう一方に譲渡することが考えられます。

名義を変更せずに他方が居住することも考えられますが、同意なしに勝手に売却されてしまうなどのリスクがありますので、居住する人と名義人は一致させておくことが望ましいでしょう。

夫婦共有名義の場合

夫婦の共有名義の場合は、売却などの財産を処分する行為は夫婦双方の合意が必要となります。

離婚時に売却し財産分与する場合は問題ありませんが、一方がそのまま居住する場合は、将来起こりうる相続や売却のリスクを避ける上で、居住する側の単独名義に変更すると間違いありません。

連帯債務に注意

住宅ローンを組んでいる場合、法律上の名義人が単独であっても夫婦のもう一方が連帯保証人になっているケースもあります。
住宅ローンの支払いが滞ったときには、連帯保証人に無条件で全額の返済義務が生じますので、そのリスクについても十分に把握しておきましょう。

住宅ローンが残っている家の離婚時の取り扱い

ここでは、ローンが残っている住宅の離婚時の取り扱いについて説明します。

婚姻中に取得した住宅は夫婦の共有財産

婚姻中に取得した住宅は夫婦の共有財産として扱われ、単独名義であったとしても原則として夫婦で半々の持ち分になります。
共有財産は離婚時の財産分与の対象となり、売却すると仮定した場合の評価額を査定する必要があります。

アンダーローンの場合

住宅の評価額よりも、住宅ローンの残債が下回ることを「アンダーローン」といいます。
離婚時に住宅を売却する場合は、売却価格でローン残債を一括返済し余った差額を財産分与することでシンプルに解決できます。

そのまま一方が住み続ける場合は、評価額とローン残債との差額をもう一方へ支払うことにより財産分与となります。
ただし、住宅ローンは当然そのまま残りますので、住み続ける方がローンの支払いを続けることが原則になります。

所有権の移転も財産分与と同時に行うことになりますが、抵当権は残ったままになりますので、金融機関への事前の相談が必要です。

オーバーローンの場合

売却評価額よりも住宅ローン残債が上回ることを「オーバーローン」といいます。
この場合は売却しても負債が残りますので、財産分与の対象からは外れます。
そのまま一方が住み続ける場合は、従前と変わらず住宅ローンを支払い続けることになります。

共有名義の住宅ローンの場合の対処法

共有名義の住宅ローンを、離婚を機に一方の単独名義にするには各種の条件をクリアする必要があります。
その方法について、以下に解説していきます。

共有名義の住宅ローンに注意

住宅ローンを申し込むときには、共有名義を勧めてくる金融機関が多いです。
夫婦双方の収入を合算した方が、返済資力が増え、ローン審査に通りやすくなるためです。
離婚時に住宅を売却しない場合には、この共有名義の住宅ローンの扱いに悩む事例が多くあるのが実情です。

離婚による名義変更は可能?

住宅ローン名義の変更には、金融機関による承諾が必要となります。
共有名義でのローンは夫婦間の収入を合算し審査していますので、単独名義に変更することは簡単にはできません。

単独でも十分な収入がある場合

単独名義でローンの再審査を行い、十分な収入があり返済能力に問題が無いと判断されれば、共有名義から単独名義への変更が可能な場合があります。
離婚を機会に、単独名義で他社ローンへの借り換えを申し込むことも同様の考え方になります。

残債を減らすか完済を待つ

住宅ローンを繰り上げ返済し、残債を減らすことも有効です。
残債に対しての支払い能力が十分あると判断されれば、金融機関も名義変更に応じてくれるでしょう。

時間は掛かるかもしれませんが、そのまま住宅ローンを払い続け完済すれば抵当権は消滅しますので、その場合も問題なく名義変更が可能です。

売却し住み替える

アンダーローンの場合は住宅を売却しローン残債を一括返済した上で、心機一転単独名義の新たな住宅に住み替えるというのもひとつの方法でしょう。
オーバーローンの場合でも、金融機関の承諾を得て「任意売却」という手段を取ることも可能です。

この場合、ローン残債が残り支払いが続くことが難点ですが、新たな住居では単独名義とすることができます。

まとめ

ここまで、住宅ローンを残して離婚するときの手続きと、住宅ローン名義と所有名義の変更の方法について解説してきました。
名義を変更せずにそのまま住み続けると、将来相続が発生したり売却を検討したりするときに簡単に処分ができずトラブルになる可能性があります。

また、住宅ローンの支払いを相手方に任せた場合、病気や失業などで支払いが滞ると金融機関に差し押さえられ、競売によって強制的に売却させられてしまう場合もあります。
将来に起こりうるリスクを回避するためにも、正しい知識で手続きをきちんと実行するようにしましょう。