お役立ちコラム
事故物件を売却するには、事故物件の定義や瑕疵(かし)の種類を理解し、売却相場や売却方法を把握することが重要です。通常の不動産売買とは異なる特殊な状況であるため、専門家のアドバイスを求めることも必要となるでしょう。
事故物件の売却は、物件の状態や事件・事故の内容、買主の心理的抵抗など、さまざまな要因が絡み合っているため一筋縄ではいきません。しかし、査定方法を知り、売却時のコツを押さえておくことで、スムーズに売却できる可能性が高まります。
本記事では、事故物件を売却する際の具体的な方法と、売却する際のコツを詳しく解説します。
事故物件を売却する前に
事故物件を売却する前に、事故物件とは何かを理解し、瑕疵の種類や事故物件の区別を把握しておく必要があります。これらを理解することで適切な売却方法を選択できるでしょう。
事故物件の売却には、通常の不動産売買とは異なる特殊な事情があるため、専門家のアドバイスを求めることも重要です。ここでは、事故物件を売却する前に知っておくべき基本的な情報を解説します。
事故物件とは
事故物件とは、自殺や他殺、孤独死など、事件や事故があった物件のことを指します。このような物件は心理的瑕疵があるとされ、通常の物件よりも売却が難しいとされています。また、物理的瑕疵や法律的瑕疵がある場合もあり、注意が必要です。
事故物件は買主が付きにくいだけでなく、賃貸物件の場合は入居者が集まりにくい問題もあります。そのため、事故物件を売却する際は、物件の状態や事件・事故の内容を正確に把握し、適切な売却方法を選択しなければいけません。事故物件の売却は、通常の不動産売却よりも慎重に進める必要があります。
瑕疵の種類
事故物件には、心理的瑕疵、物理的瑕疵、法律的瑕疵の3種類があります。瑕疵の種類によって、売却方法や売却価格が異なる場合があるため注意が必要です。それぞれの瑕疵について詳しく見ていきましょう。
心理的瑕疵
心理的瑕疵とは自殺・他殺・孤独死などの事件や事故によって、物件に対する嫌悪感や不安感が生じることを指します。このような心理的瑕疵がある物件は、買主が付きにくく、売却が難しいとされています。また、賃貸物件の場合は、入居者が集まりにくいという問題もあります。
心理的瑕疵がある物件を売却する際は、事件や事故の内容を正確に開示し、買主の不安を払拭することが重要です。また、専門の清掃業者に依頼して、物件内の清掃を行うことも効果的です。心理的瑕疵は買主の購入意欲に大きな影響を与えるため、慎重に対応する必要があります。
物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、建物の構造や設備に問題がある場合を指します。たとえば、雨漏りやシロアリによる建物の損傷や、設備の故障などです。このような物理的瑕疵がある物件は、修繕やリフォームが必要になることがあり、売却価格が下がる可能性が高いでしょう。
物理的瑕疵がある物件を売却する際は、修繕やリフォームにかかる費用を考慮し、適切な売却価格を設定することが重要です。また、買主に物件の状態を正確に伝えたうえ、理解を得なければいけません。
法律的瑕疵
法律的瑕疵とは、土地や建物が法律的な基準を満たしておらず、売却が阻害されている状態を指します。不動産に関する主な法規制には、都市計画法・建築基準法・消防法などがあり、これらの法規制に違反している物件が法律的瑕疵のある物件となります。
具体例は、以下のとおりです。
・ 建ぺい率が建築基準法の基準を満たしていない物件
・ 接道義務が守られていないため再建築ができない物件
・ 計画道路の予定地であるため、建築に制限がある物件
法律的瑕疵がある場合、正確に状況を伝えなければならず、これを怠った場合には告知義務違反となってしまいます。法律的瑕疵は売却後にトラブルになる可能性があるため、慎重に対応する必要があります。
環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、物件周辺の環境要因によって、物件の価値や住みやすさに影響を与えている状態を指します。
たとえば、近隣に工場があり騒音や悪臭が発生する場合や、洪水や地震などの自然災害のリスクが高い地域にある物件、葬儀場や墓地が近隣にある場合などが該当します。このような環境的瑕疵がある物件も買主が付きにくく、売却が難しいとされています。
環境的瑕疵がある物件を売却する際は、周辺環境のリスクについて正確に開示し、買主の理解を得ることが重要です。また、可能な限り騒音対策や防災対策を講じて、物件の価値を高める努力をしましょう。
事故物件の区別
上記の瑕疵のほか、事故物件の区別を理解しておくことがとても重要です。事故物件の区別によって、売却方法や売却価格が異なる場合があるためです。ここでは、事故物件の区別について詳しく解説します。
事故物件に該当するもの
事故物件に該当するものには、自殺や他殺などの事件があった物件があります。また、火災や爆発、ガス漏れなどの事故があった物件も事故物件に該当します。とくに火災や爆発は、死者がいない場合でも事故物件に該当するので、注意が必要です。
このような物件は心理的瑕疵があるとされ、売却が難しいとされています。事故物件に該当する物件を売却する際は、事件や事故の内容を正確に開示し、買主の不安を払拭することが重要です。また、専門の清掃業者に依頼して、物件内の清掃を行うことも効果的です。
事故物件の売却には、通常の物件よりも時間がかかる場合が多いですが、適切な対応を行うことで売却の可能性を高めることができます。事故物件の売却価格は、通常の物件よりも低くなる傾向にありますが、物件の状態や立地によって異なります。
事故物件に該当しないもの
事故物件に該当しないものには、病死や老衰による死亡があった物件があります。病死や老衰は自然死であり、買主や借主の契約判断に重大な影響を与えないとされているためです。また、不慮の事故で亡くなった場合や、共用部で住人が亡くなった場合も事故物件には該当しません。
ただし、遺体の発見が遅れてしまい、建物に汚損が生じている場合は、告知が必要となります。買主によっては嫌悪感を抱く可能性があるためです。必要に応じて専門の清掃業者に依頼して、物件内の清掃を行いましょう。
また、病死や老衰による死亡があった物件でも、死亡者数や死亡時期によっては買主の心象に与える影響が大きくなる場合があります。物件の状態や死亡者の情報などを開示し、買主の理解を得ることが重要です。
事故物件の売却相場
事故物件の売却相場は、通常の物件よりも10~50%程度安くなる とされています。価格帯の幅が広いのは、事件や事故の内容によって売却相場が大きく変動するためです。
たとえば、病死や老衰といった自然死による汚損の場合は約20%~30%程度、自殺の場合は30%~50%程度、殺人の場合は50%ほど安くなるといわれています。 事故物件となった原因が、一般的に嫌悪感が大きいとされるものほど、売却価格も低くなる傾向にあります。
事故物件を売却する際は、複数の不動産会社から査定を受け、適切な売却価格を設定することが重要です。また、買主の心理的抵抗を和らげるために、物件の清掃や修繕を行うことも効果的です。
事故物件の売却相場は、物件の状態や事件・事故の内容によって大きく異なるため、一概には言えません。適切な売却価格を設定するためには、専門家のアドバイスを求めるとよいでしょう。ハッピープランニングでは、一人ひとりのニーズに合わせた売却方法を提案しています。
事故物件を売却する方法
事故物件の売却を検討しているものの、どこへ依頼すればよいのか分からずにお悩みの方は多いでしょう。
事故物件を売却したい場合は、仲介や不動産会社、買取専門業者に依頼する方法があります。それぞれの方法の特徴を理解し、適切な方法を選択することが重要です。ここでは、事故物件を売却する方法について詳しく解説します。
仲介
仲介とは、不動産仲介業者を通じて事故物件を売却する方法です。不動産仲介業者は、買主を探し、売買契約を取り交わすまでの一連の流れをサポートしてくれます。ただし、仲介手数料がかかるため、手取り額が少なくなる可能性があります。
不動産仲介業者によっては、事故物件の取り扱いをしていないところもあります。事故物件の取り扱いに慣れた仲介業者に依頼するとよいでしょう。
事故物件の場合は、一般的な物件に比べるとその性質上買主が見つかりにくいため、売却までに時間がかかる可能性があります。しかし、事故物件の売却に積極的な仲介業者会社を選ぶことで、比較的スムーズな売却を期待できるでしょう。
不動産会社
不動産会社に事故物件を売却する方法もあります。買主が見つからなくても、不動産会社が物件を買い取ってくれるため、条件が合えばスピーディーに売却できるのが魅力です。とにかく早く売却したいという方は、不動産会社に直接売却するとよいでしょう。
ただし、買取価格は市場価格よりも安価になる可能性が高いです。不動産会社は、買い取った不動産を再販して利益を出すため、具体的には市場価格の7割 程度の売却価格になるといわれています。
そのため、複数の不動産会社に相談し、買取価格や売却までにかかる時間を比較することが重要です。
買取専門業者
事故物件の買取を専門に行っている業者に売却する方法もあります。買取専門業者は、事故物件の買取に特化しているため、最もスピーディーな売却が見込めます。また、物件の状態によっては、市場価格に近い価格で買い取ってくれるケースもあります。
ただし、買取専門業者のなかには悪質な業者も存在するため、複数の業者に相談し、買取価格や売却までにかかる時間を比較検討しましょう。買取専門業者に事故物件を売却する際は、信頼に足る業者であるか十分に確認することが重要です。
事故物件を査定してもらう方法
事故物件を売却する際は、適切な価格設定が不可欠ですが、そのためには事故物件を査定してもらう必要があります。事故物件の査定は、通常の不動産査定とは異なる点があるため、注意が必要です。ここでは、事故物件を査定してもらう方法について詳しく解説します。
一括査定
一括査定とは、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスです。専用のフォームに不動産の情報を入力すると、複数の不動産業者から査定結果を受け取れます。複数の業者の査定結果を比較し、最適な売却先を選べます。
一括査定に必要な情報は、不動産の住所や築年数、広さ、種類(戸建て、マンション、土地など)といった基本的な情報のみです。情報を入力するだけで、数日後に査定結果が返送されます。一括査定は、短時間で複数の業者から査定結果を得られることが大きなメリットです。
ただし、査定結果はあくまで参考値であり、実際の売却価格とは異なる場合があるため注意が必要です。また、一括査定を利用した後、多くの不動産業者から営業の連絡がくることがあるため、対応方法を事前に考えておくことをおすすめします。
机上査定
机上査定とは、物件情報をもとに不動産会社が査定を行う方法です。査定結果が出るまでの手続きがすべて机上で完結するため、このように呼ばれています。物件の所在地や間取り、築年数などの情報をもとに、おおよその売却価格を算出してくれます。
机上査定は不動産がある場所や築年数、売却相場、過去に行われた不動産取引などの情報をもとに算定が行われます。そのため、利用する際は物件の情報を正確に伝えることが重要です。また、事故物件であることを伝え、不動産会社の理解を得ることも必要です。
ただし、実際の物件の状態を見ていないため、正確な査定結果とは言えません。あくまで参考程度の査定結果であると考えておく必要があります。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、現地で査定を行う方法です。物件の状態を直接確認できるため、机上査定より正確な査定結果を得られます不動産に関して気になる点があれば、その場で確認できることもメリットです。
たとえば一軒家であれば、隣接する物件との境界線などを確認できます。マンションの場合は、建物全体や共有部分の管理者は誰になるのかといったことを確認できます。
実際に物件を見てもらうことで、担当者から売却に関するアドバイスも得られます。訪問査定を利用する際は、事前に質問事項をまとめておきましょう。
事故物件を売却する際のコツ
事故物件を売却する際は、いくつかのコツを押さえておくことが重要です。ここでは、事故物件を売却する際のコツについて詳しく解説します。
事故物件の売却は、通常の不動産売却とは異なる点が多いため、専門家のアドバイスを求めることも重要です。また、売却までに時間がかかる場合もあるため、粘り強く取り組むことが必要です。
売却可能か不動産会社に確認する
事故物件を売却する際は、まず売却可能かどうかを不動産会社に確認することが重要です。事故物件のなかには、売却が難しいものもあるため、複数の不動産会社に相談して、売却可能かどうかを確認しましょう。
また、売却価格や売却までにかかる時間なども確認しておくことが重要です。不動産会社によっては、事故物件の取り扱いに消極的な場合もあります。信頼関係を築くためにも、事故物件の売却に積極的な不動産会社を探すことをおすすめします。
売却可能かどうかを確認する際は、物件の状態や事件・事故の内容を正確に伝え、不動産会社の理解を得るようにしましょう。
修繕やリフォームを行う
事故物件を売却する際は、修繕やリフォームを行うことで、売却価格を上げることができます。とくに、事件や事故の痕跡を修繕することは重要です。壁紙の張り替えや、床の修繕などを行うことで、買主の心理的抵抗を和らげることができるでしょう。
修繕やリフォームにはコストがかかるため、売却価格とのバランスを考える必要があります。事件や事故の内容によって必要な工事の内容が異なるため、専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。また、修繕やリフォームを行った場合は、買主に正確に伝えることも必要です。
特殊清掃を行っておく
事故物件を売却する際は、特殊清掃を行っておくことが重要です。特殊清掃とは、事件や事故の痕跡を専門的に清掃することを指します。特殊清掃を行うことで、物件の印象を良くすることができ、買主の心理的抵抗を和らげることができます。
特殊清掃を行う際は、事件や事故の内容によって、必要な清掃の内容が異なります。事故物件の特殊清掃に実績のある業者に依頼することで、適切な清掃を行うことができるでしょう。なお、特殊清掃にはコストがかかるため、売却価格とのバランスを考える必要があります。
お祓いを済ませておく
事故物件を売却する際は、お祓いを行うことで、物件に関わる心理的な不安を和らげられます。お祓いには、物件の浄化や、売主や買主の心の平安を願う意味があるためです。
お祓いを依頼する際は、事件や事故の内容に応じて、適切な神社やお寺を選ぶことが大切です。また、お祓いにかかる費用は、物件の売却価格に影響を与える可能性があるため、事前に予算を検討しておきましょう。
お祓いを済ませた後は、買主に対してお祓いの実施状況を正直に伝えましょう。お祓いしたことを伝えておくことで買主の安心感を高め、円滑な売却につなげることができます。
告知義務を怠らないようにする
事故物件を売却する際は、告知義務を怠らないようにすることが重要です。告知義務とは、物件の瑕疵を買主に伝える義務のことを指します。事故物件の場合は、事件や事故の内容を正確に伝えておかなければなりません。
告知義務を怠ると、後からトラブルになる可能性が高いです。買主は事故物件に対して不安を感じていることが多いため、丁寧に説明することが求められます。また、買主からの質問にも正直に答える必要があります。
告知義務を果たす際は、書面で残しておきましょう。売却後に「告知をしてもらってない」と言われてトラブルになることを防ぐためです。きちんと告知して買主が納得することで、信頼関係を築くことができ、円滑な売却につながります。
告知義務を果たすことは、売主の責任です。トラブルを防ぐためにも、告知義務を怠らないようにしましょう。
一定期間空けてから売却する
事故物件を売却する際は、事件や事故があってから一定期間空けてから売却することをおすすめします。事件や事故の直後は、買主の心理的抵抗が強いため、売却が難しい場合があります。一定期間空けることで、買主の心理的抵抗を和らげることができ、売却がスムーズに進む可能性があります。
一定期間空ける際は、定期的に物件の掃除や換気を行い、カビや害虫の発生を防いでおきましょう。ただし、あまり長期間空けすぎると物件の劣化が進む可能性があるため、注意しましょう。また、一定期間空けた後でも、物件の状態や事件・事故の内容を正確に伝える必要があります。
更地にしてから売却する
事故物件を売却する際は、更地にしてから売却することも選択肢のひとつです。更地にすることで、事故物件としてのイメージを払拭することができ、売却がスムーズに進む可能性があります。
更地にする際は、解体費用や更地にするまでの時間を考慮しておきましょう。また、更地にした場合も、事件や事故の内容を正確に伝えることが必要です。
ただし、事故物件が再建築不可物件の場合は、更地にしてしまうと新たに建て直すことができず、土地が売れない可能性があります。必ず専門家に相談してから更地にすることをおすすめします。
まとめ
事故物件を売却する際は、さまざまな注意点があります。事故物件の売却は、物件の状態や事件・事故の内容によって、売却方法や売却価格が大きく異なるためです。適切な方法を選ぶことで、スムーズに売却できます。
しかし、事故物件を個人で売却するのはなかなか難しいことでしょう。事故物件を売却する際は、専門家のアドバイスを求めることが重要です。
お困り不動産解決本舗のハッピープランニングでは、事故物件の買取を専門に行っています。豊富な経験と知識を活かし、お客様の満足のいく売却をサポートいたします。また、事故物件の売却では、買主の心理的抵抗を和らげるための工夫も必要です。
ハッピープランニングでは、お客様はもちろん、買主のニーズに合わせた売却方法をご提案いたします。事故物件を少しでも高く売却したい方は、ぜひ私たちにご相談ください。
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